2006年07月28日

ようこそ『Bar 涙色』

ここは、閑静な住宅街。
名も知らぬ小道に、『Bar 涙色』はあると言われています。
地図にも出てない小さな店に
いつも誰かがやってくる。

心の底に、涙を溜めて。

お客様の涙を癒すのが、マスター鈴木。
涙色のカクテルが評判です。

カラン

今夜も、お客様がやってきたようです。

鈴木「いらっしゃい」
「マスター、いつもの」
鈴「めずらしいね、ここにくるなんて。」
「うん…ちょっと。あってね」
鈴「じゃあ、今日のカクテルは紫色にしとくよ。どうぞ」
「…綺麗な色。マスター、聞いてくれる?」

私、今日も、テストがあったの。
私の学校はね、講義の内容が闇で売買されてるんだけど
それを買えば単位も取れる、って評判で。

私?もちろん買ってるわよ。
やっぱり単位って欲しいじゃない。

今日のテストは持ち込み自由だったし。
単位もらった!
なんて。喜んでたのよ、私。
テスト30分前までは。

教室でね、友達に会ったんだ。
今日、余裕だよね。
って言ったら。

「でもこの講義、闇でも売ってなかったやんね」

って。友達が言ったの。

「え?!私、持ってるけど?買ったけど?!」

正直、びっくりしたわよ。

「それ・・・・学部が違うヤツやで。内容もちゃうねん」

目の前が。
暗くなりました。

確かに私が持ってる最終講義のレジュメとは内容が違ったけど。
私の学部はチンギスハン。
持ってる講義内容は、源頼朝。
国が違ったけど。
最終講義で突然中国の歴史になったと思ってたのに。

持ち込みは、自由だけど。
教科書は元々なかったから。何も用意していなかったんだ。
手元にあるのは、意味ない資料だけ。

お家に、帰りたい。

何度そう思ったか。
しかも問題はね、2問あったんだけど1つ選択して答えろ、だって。
鎌倉時代の宗教か、徳政令について。選べるんだってさ。
1問100点よ?
いい度胸してるじゃない。

もちろん、どっちも答えられなかったわ。

だからね、先生に手紙を書いたの。
ミスを犯して範囲を間違えたからわかりません、て。
代わりに聖徳太子について熱く語っといたわ。
情状酌量って、あるのかな。

…泣いても、いい?

鈴「人生、長く生きてりゃ色々あるさ。単位1つぐらい。いいじゃない」
「ありがとう。でも…ね」
鈴「どうした」
「それだけじゃないのよ」

2年前…だったかな。
登録していた講義があったんだけどね。
同じ名前で時間が違うのが3つくらいあったんだ。

自分が登録した講義を最初から勘違いしてたみたいで、さ。
ずーっと違うクラスにでてたんだ。私。
もちろん、テストも勘違いしてて。

間違いに気づいたときには。
自分のクラスのテストが2日前に終わってたみたい。

ばかみたいよね、私。
テスト受けもせず、落ちちゃうなんて。

なんていうか。
テストには、魔物が住んでるでしょ?
ほら、それに
2度あることは、3度ある。っていうじゃない。
今から怖いのよ。

私、怖いの。

鈴「泣きたいだけ、泣けばいいさ。今夜はもう、店は閉めとくよ」

カラン

『Bar 涙色』
今夜は閉店です。
posted by nepmoi at 21:15| Comment(9) | TrackBack(0) | 嘘だといって | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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